どうしても、夫の過去風俗を割りきれず、イライラして家出した。
私と出会ってからは何もしてないってわかってる。
それでも、夫が私に問い詰められて、「少しは気持ちよかった」「手っ取り早く女の肌に触れるため」なんてきいたら、頭に血がのぼってしまった。「お前の快感は誰が相手でも成立するんだろ?私じゃなくてもいいんだろ?」って。男性の性って分かってるけど、誰とでもできるって事実に心が追い付かない。正直な夫が時折少し恨めしい。「全然気持ちよくないよ。◯◯とは比べられないくらいだよ」とか言ってくれたら、ちょっとは落ち着くかもしれないのに。暴走するオンナゴコロ。
夫となんかこれ以上一緒にいたくなくて、家出した。コンビニに行った。
一人になって、どうやったら風俗を利用したときの夫の気持ちがわかるだろうかって考えた。私も利用してみればいい?
携帯で調べると結構ある。女性用風俗とかレズ専用デリヘルとか。行ってみようか?夫がどんなことをしたら知ったらちょっとはわかるかも。
かなり悩んだが、やめた。自分も汚れてしまいそうだし、風俗を利用したあとの自分が赤ちゃんを抱けると思わなかったから。ま、風俗にそこまでの意味はないかもしれないけど。このまま一人でいたら、心がぐらついて利用しそうだったので家に戻った。
帰り道、今度は夫への恨みがふつふつ沸いてきた。なんで風俗いったことあるってことを付き合ってる最中に言わず、結婚してから言ったの?しかも、式が終わって取り返しつかないときに。知りたくなかったよ!正直。馬鹿。自分でも頭が固いって思ったけど、付き合ってるときに知ったら、即刻別れてた。何か男は信用できないって思って、一生独身だったかも。
家に着いた途端、夫に「殺していい?」って聞いた。何の反発もせず、「いいよ」ってベッドに横になったから、私、馬乗りになって首を締めた。夫の中の男の性が憎らしかった。夫の顔がみるみる赤くなっていく。苦しそうにヒユッって喉が鳴るのを聞いたら「あ、夫が死んじゃう」って思って手、放しちゃった。
咳き込む夫を見たら、なんかどうでもよくなって私も横に寝転んだ。
「今すぐ抱いて。でなきゃ殺して。 」
と言った。夫はどっちも無理って言ったけど、私が自分の首に夫の手を導くと静かに私の首を絞め始めた。「あ、苦しい」って思った瞬間、手が緩められた。「やっぱり無理」だって。「じゃあ、抱いてよ」って私は服を脱いだ。夫はそんな気分にならないって言ってたけど、私が抱きついたら勃ってきた。
私が誘って抱かせた。荒々しいsex。もっと乱暴にしてよ。レイプみたいに抱いてよ。って抱かれながら言った。まるで狂った動物みたいにお互いの肌に噛みついた。
終わったあとは脱力。
「絶対裏切るなよ。裏切ったら殺す」
とお互いに言い合ってから、眠りに落ちた。
起きたら一つの考えが浮かんでいた。
きっとこの先、私のことを好きになる男はたくさんいるだろう。
でも、私の愛に付いてこられるのは夫しかいないと。
私が家出したり、殺そうとしたり、半分頭がおかしくなっているのに、それでも、私のことを諦めず、愛してくれる夫は彼以外にいない。
夫は起きてきて、ご飯を準備してくれた。
一番先に食事を用意するなんて、私を生かそうと思ってるんだと思った。
いただきますの前に夫が
「きっとこんな俺のこと愛してくれる人は、◯◯しかいないね」
とぽつりと言ってきた。
お互い様だと思ったが、悔しいから何も言わずに、夫が準備した食事に手をつけた。
誰の言葉だったか、
「好きなものは呪うか、殺すか、争うかしなくてはならない」
それを思い出した。